こんばんは。直島つつじ荘スタッフのイブです。
「ところで、虫は平気ですか?」
今の職場を受けた時、面接で聞かれました。
「はい、全然平気です。ゴキブリが出ても全く騒ぎません」
そう答えると、面接官から感嘆の声があがりました。
「おお~!素晴らしい!」
それまでに言った何よりも反応がいい…。
もしかして選考基準はあの一点のみで他はどうでもよかったのではないか?
そんな疑念をぬぐいきれませんが、虫と共存できるかは、確かに直島に住むにあたっては大切なポイントです。
むかし、ある教育施設でボランティアをした時に一人の中学生男子と出会いました。
とても心優しい子で、生き物を愛するあまり肉も魚も食べず、中学生にしてベジタリアン。
「かわいそう」と、蚊も殺せない子でした。
私も虫には寛大なほうで、部屋で蛾が腕立て伏せをしていようが、おおきなクモが散歩をしていようが気にしませんが、害を与えてくる虫については別です。
一度、夜中にムカデにかまれて激痛で飛び起きたことがありました。
誰に助けを求めるわけにもいかず、一人でネットで「ムカデ 応急処置」と検索するという孤独な事態になり、「焼酎をかける」という処置がヒットしたため、たまたま家にあった泡盛を自分にふりかけるというさらに孤独な上にシュールな状況に陥り、心からムカデを憎みました。
畑で作業をしているときも、いつも蚊の大群に襲われます。
もしその時神様が現れて「願いを何でも一つ叶えてやろう」と言われたら、「世界中の蚊を殺して下さい」と口走って願いを無駄にしてしまいそうな、そんな私からすれば、あの心優しい中学生の彼は尊敬する人物ベスト5に入ります。
さて、虫で思い出す作品といえば、カフカの「変身」。
主人公がある朝突然巨大な虫になる、あれです。
虫になった彼に対して家族は、ショックを受けたり、やさしくしようとしてみたり、嫌悪感を感じたりと揺れ動きます。
だけど徐々に、ただそれが家の中にいる、という状況に慣れていく。
自分と全く異なる生き物に対して、良い悪いにかかわらず何かアクションを起こすのではなく、ただ存在に慣れていく、という受け入れ方もあるのだと思いました。
最終的には、客の前に出てきてしまった虫の主人公に対して父親が、
「お前なんで部屋から出てきてんねん!客がびびるやろ!」という感じでブチ切れてりんごを投げつけ、それが原因で死んでしまうという悲しい話なのですが。
虫との共存。
それがテーマになるのは、つつじ荘も例外ではありません。
特に パオは、周りの自然との隔たりがあまりないのが魅力ですが、それゆえ虫が入ってくる、ということと隣り合わせで、人的に防ぐには限界があります。
もちろん、蚊も殺さない中学生の彼や、「蟲との共存を」と叫ぶナウシカのようなお客様のほうが稀だと思います。
特に都会での生活に慣れていらっしゃる方にとっては、虫がいること事態が耐えられないかもしれません。
ただ、ほんの少しだけ。
異質なものがそこにいる、という状況に慣れるということに、ほんの少しだけトライしていただけないでしょうか。
もし、そのトライがうまくいかなければ、お部屋に備え付けの殺虫剤を手にするか、つつじ荘スタッフを呼んでくだされば結構です。
つつじ荘には、
虫を殺ることにかけては百戦錬磨のイケメンスタッフ

や、ハエタタキを手にするとゴルゴ13の目になる島のおばちゃんなど、 優秀な人材がそろっています。
もちろん、お客様に害を及ぼす可能性のある虫については、対策を立てさせていただいております。
この時期はスズメバチが出るということで、スタッフの一人がさっそくスズメバチ用の殺虫剤を購入していました。

買いすぎだよ。
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